テイスティングの基本 — 香り・味・余韻を捉える
香り・味・余韻を「見る・嗅ぐ・含む・追う」の手順で捉える、再現性のあるテイスティングの基本を紹介します。
要点
- テイスティングは「見る・嗅ぐ・含む・余韻を追う」の四段階で行うと再現性が上がります。
- 湯温や抽出時間を一定に保つことが前提で、条件をそろえなければ味の違いが自分の技術によるものか茶葉そのものによるものか判断できません。
- 香りの感じ方には個人差があるため、一度の印象を絶対視せず、繰り返し確認する姿勢が上達の近道です。
同じ茶葉を同じ道具で淹れても、注意を払って飲むかどうかで受け取れる情報の量はまったく変わります。テイスティングとは特別な資格や鋭い舌が必要な作業ではなく、香り・味・余韻を順番に確認していく手順のことです。ここでは毎回の一煎で使える、シンプルな追い方を紹介します。
前提 — 茶葉・道具・湯量をそろえる
テイスティングに専用の道具は必要ありませんが、蓋碗(がいわん)か小さめの急須と、香りを妨げない白磁または薄手のガラスの茶杯があると確認しやすくなります。湯温・茶葉量・抽出時間を毎回そろえておくことが前提で、基準は湯温・茶葉量・抽出時間の記事で扱った三つの数字を参照してください。条件を変えずに淹れて初めて、感じた違いを茶葉の個性として扱えます。
手順 — 香・味・韻を追う
- 見る:乾いた茶葉の色とかたち、抽出後に開いた葉(葉底・ようてい)の色を確認します。
- 嗅ぐ:乾いた茶葉、蓋を開けた瞬間、そして茶湯そのものの香りを別々に嗅ぎます。抽出直後(目安として80℃前後)とやや冷めたとき(目安として50℃前後)とでは香りの印象が変わるため、両方を確認します。
- 含む:一口を口の中全体に広げるように含み、甘み・渋み・苦みのバランスと、舌のどの部分で強く感じるかを意識します。
- 余韻を追う:飲み込んだあと喉の奥から鼻に抜ける香りと、しばらく残る甘み(回甘・かいかん)の有無を確認します。
つまずきやすい点
もっとも多い失敗は、熱すぎる茶湯をそのまま口に含み、舌が麻痺して繊細な違いを拾えなくなることです。抽出直後は少し冷ましてから含むと、渋みと甘みの輪郭がはっきりします。ただし、どの温度で最も特徴が出るかは茶の種類によって異なるため、一つの正解を探すより、複数の温度で試して自分なりの基準を作る方が実践的です。一煎ごとに気づいた点を一言でもメモしておくと、次に同じ茶を淹れるときの目安になります。
次に読む
香りを感じ取れるようになったら、その印象を言葉にする練習に進むと理解が深まります。香りを言葉にする — アロマの表現と練習を読み、花・果実・焙煎・青葉といった系統で表現する方法を確認してください。
参考文献
- Encyclopaedia Britannica, "Tea"(茶の加工と評価に関する概説)
- 公益社団法人日本茶業中央会「全国茶審査技術競技大会」関連資料(茶の官能評価の考え方)
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