メインコンテンツへスキップ 上級プログラム 「Professional Tea Appreciation Program」受付中 — 香りと余韻を、言葉にする。 詳しく見る →

淹れ方と道具

湯温・茶葉量・抽出時間 — おいしさを決める三つの数字

どんな茶でも、味を決めているのは湯温・茶葉と湯の比率・抽出時間という三つの数字です。それぞれが何を動かすのかを、茶種ごとの目安レンジとあわせて整理します。

Mosetti Tea Studio 編集部 約4分
湯温・茶葉量・抽出時間 — おいしさを決める三つの数字

「このお茶は何度で淹れればいいですか」という質問には、実は一つの正解がありません。茶葉の量が多ければ湯温は下げてよく、抽出時間を短くすれば逆に湯温を上げても渋くなりにくいからです。味は湯温・茶葉と湯の比率・抽出時間という三つの数字の組み合わせで決まります。

この記事では、その三つの数字がそれぞれ何を動かすのかを、茶種ごとの目安レンジとあわせて整理します。数値はすべて出発点であり、香りの感じ方には個人差があるため、最終的にはご自身の舌で調整してください。

要点

湯温は主に苦味と渋味の出方を、茶葉と湯の比率は濃さの土台を、抽出時間は最終的な強さを動かします。緑茶や白茶のように酸化度の低い茶は70〜85℃前後、青茶(烏龍茶)や紅茶、黒茶のように酸化・発酵や焙煎が進んだ茶は90〜100℃前後が一般的な出発点です。比率は蓋碗などで濃く淹れるなら100mlあたり3〜5g、マグカップで気軽に淹れるなら200mlあたり2〜3g程度が目安になります。

湯温が動かすもの

湯温が高いほど、苦味や渋味のもとになる成分が早く溶け出します。緑茶や白茶のように酸化度の低い茶は、繊細な旨味や甘みを持つ一方でこの成分の影響を受けやすいため、70〜85℃前後の低めの湯温が一般的な出発点とされています。対して青茶(烏龍茶)、紅茶、黒茶のように酸化や発酵、焙煎が進んだ茶は、高い湯温でないと香りが十分に開かないため、90〜100℃前後が目安になります。

茶葉と湯の比率が動かすもの

比率は濃さの土台を決めます。蓋碗や小さな急須で数煎繰り返す淹れ方なら、100mlあたり3〜5g程度としっかり茶葉を入れ、短時間で注ぎ切るのが基本です。マグカップやティーポットで一度にゆったり淹れる場合は、200mlあたり2〜3g程度に抑え、抽出時間を長めに取ります。同じ茶葉でも比率を変えれば、まったく違う飲み口になります。

抽出時間が動かすもの

抽出時間は、湯温と比率で決まった土台の上に、最終的な強さを上乗せする役割です。湯温が高く比率が濃いなら数十秒でも十分な場合があり、湯温が低く比率が薄いなら数分単位が必要になります。時間を長く取りすぎると、湯温や比率が適切でも渋みだけが突出しやすくなります。

目安の組み合わせ

  • 緑茶・白茶:湯温70〜85℃、比率200mlあたり2〜3g、抽出1〜3分程度
  • 青茶(烏龍茶):湯温90〜100℃、比率100mlあたり3〜5g、抽出10〜30秒程度(数煎繰り返す前提)
  • 紅茶:湯温90〜100℃、比率200mlあたり2〜3g、抽出2〜4分程度
  • 黒茶(プーアル茶など):湯温90〜100℃、比率100mlあたり3〜5g、抽出10〜20秒程度から開始

いずれも茶葉の産地や火入れの強さによって幅があるため、あくまで最初の一杯を淹れるための出発点として扱ってください。蓋碗で実際に手を動かしながら淹れる手順を扱った記事と読み合わせると、数字が動きとして理解しやすくなります。

確認と調整

一杯淹れてみて渋みや苦味が強すぎると感じたら、次は湯温を5℃ほど下げるか、抽出時間を数秒〜数十秒短くします。逆に味が薄く物足りなければ、比率を少し濃くするか抽出時間を延ばします。三つの数字を同時に動かすと何が効いたのか分からなくなるため、一度に変えるのは一つだけにするのがコツです。

つまずきやすい点

もっともよくある誤解は「熱ければ熱いほど良い茶が出る」という思い込みです。もっとも、これは酸化・焙煎が進んだ茶にはおおむね当てはまりますが、繊細な緑茶や白茶に同じ発想で熱湯を注ぐと、渋みだけが際立って本来の甘みが隠れてしまいます。茶種による適温の違いを、まず疑ってみることが調整の第一歩です。

次の一歩

数字を動かして淹れ分けられるようになったら、その違いを言葉にして捉える段階に進みます。香り・味・余韻を捉えるテイスティングの基本を扱った記事で、淹れ方の違いが実際の味わいにどう表れるかを確認してみてください。

参考文献

  1. UK Tea & Infusions Association. "How to Brew the Perfect Cup." tea.co.uk.(本稿執筆時点の情報。茶種別の湯温・抽出時間の目安を参照)。
  2. Camellia Sinensis. "Tea Brewing Guide." camellia-sinensis.com.(本稿執筆時点の情報。比率と抽出時間の考え方を参照。数値は茶葉のコンディションにより幅がある)。

関連する記事

Mosetti Tea Studio

会員登録で、コースの詳細とニュースレターを受け取る

無料の記事だけでも日々の一杯に役立つ内容を目指していますが、会員登録いただくと、 コースの詳しい内容と、新しい淹れ方ガイド・更新情報のニュースレターをお届けします。 登録は無料です。メールアドレスは配信目的のみに使用し、第三者へ提供することはありません。